2015年7月31日金曜日

mollen物語

いえい。やっとでけたぜ。8月14日。モーレンがやるライブの物語。
興味ある人も無い人も。読んでくれたら嬉しいな。あなたに届けたい。無情の愛。
以下、本編也

   
   湿った風が吹き、濁った水が流れる。

   決して過ごしやすいとは言い難い気候の夜更けに、突然呼び出された燕は、誰よりも居心地が悪そうだった。
   先程から繰り広げられる二人の会話の内容が、燕の胸にあった嫌な予感を見事に的中していたからである。
   沈黙は長くなった。 

   「もう、僕たちはおしまいなのかな」
   言い終えた後に、燕は俯いた。言ってしまったことを、強く後悔した。
   海月はあたかも面倒そうな面持ちで言った。
   「さっきから言ってるじゃない。あなたとは別に、何も始まっていないわ」
   月に照らされた海月はいつもよりずっと綺麗に光っていた。だからこそ言葉はいつもより冷酷だった。
   「僕の気持ちは、一つも君に届いていなかったんだね」
   燕は、声を震わせないように努めた。
   「あなたは私になにもくれなかったわ。目に見えるものも。心に残る言葉も。なにもくれなかった」
   そんなはずはない、と燕が言いかけたとき、それを遮るように生ぬるい風が二人の間を吹き抜けた。そしてそれを合図かのように、突然、砂で埋め立てられた地面がこんもりと盛り上がった。
   二人は驚き、無言で夜の砂浜に目を凝らした。すると盛り上がった部分がブルブルと震え出し、上に被さった砂を払い除けるような仕草をしたかと思うと、そこから得体の知れない何かが顔を出した。
   「すみません、こんな時間に。いきなりですが、林檎、いりませんか?青森の」
   二人は意味がわからなかった。何秒間か、暗闇と月と波の音だけが鳴り響いた。
   「なんですか、あなたは。林檎ってなんだ。まず何者かを言いなさい」
   燕が言うと、
   「あ、僕ですか?僕はモグラです。モグラをしながら林檎を売っています」モグラは飄々と答えた。
   「モグラですって?そんな、眼鏡を掛けたモグラなんて見たことがないわ」海月は言った。
   「それはいいじゃないですか。それにあなたも海月でありながら眼鏡をしている。実に珍しいと思いますよ」
   「失礼な。ムカつくモグラね。もういい。私は帰ります」
   「ちょっと待って。海月さん、まだ僕の話は終わっていないんだ」
   「あなたと話すことなんてもうなにもないのよ」
   「おやおや。おやおやおやおやおやおやおやおや」
   「なんだよ、おや、が多すぎる。今、凄く大事な話をしているところなんだ。関係のない君はあっちへ行ってくれ」
   「実はというと、先程からお二人の会話をこっそり地中で聞いておりました。どうやら別れ話がこじれているご様子で」
   「まぁ。いやらしいモグラね。人の話を盗み聞きだなんて」
   するとモグラは少しバツの悪そうな顔をしてみせたが、すぐに気を取り直すと、自分の手から何かを差し出した。
   「なんだ、これは」燕は聞いた。
   「これは、僕が世界中、穴を掘り進めながら売り歩いている林檎です。林檎といってもただの林檎ではありません。これを食べると自分の気持ちにとても素直になれる林檎で、思っていることも正直に伝えることができようになります」
   「それがどうしたというんだ」
   「先程から聞いていると、どうやら海月さん。あなたはまだまだ自分の気持ちに嘘をついているように思うのです。さぁ。これを食べて、ちゃんと正直におなりなさい」
   「余計なお世話ね。私は嘘なんてついていないわ」
   「そうだというなら是非食べて見て下さい。なに、味は決して悪くありません」
   「あなたもしつこいわね。いいわ、そこまで言うなら食べてあげる。そして燕の野郎にちゃんとわからせてあげるんだから」
   そういうと海月はモグラの手にした林檎を受け取った。
   「あ、海月さん。そんなものを食べるとあとでなにがあるか…」
   燕の忠告は虚しく、海月は林檎を一口に飲み込んでしまった。
   もぐらと燕は、神妙に海月の応答を待った。一体海月が本当に変化してしまうのか、考えると燕は一気に緊張した。
   「……」
   俯いたきり、なにも話せなくなってしまった海月を見るに見かねてモグラが言った。
   「燕さん。何か話し掛けて見て下さい」
   燕は恐る恐る声を掛けた。
   「海月さん。海月さん。どうしました。気は確かですか。返事をしてください」
   すると海月はゆらゆらしながら顔をゆっくり表に上げ、言葉を発した。、
   「私、あなたのことが好きです」
   燕は驚いた。身体が硬直するのがわかった。
   「私は、前からあなたのことが好きでした。これからは永遠にあなたの傍にいたいと思います」
   「どういうことだ。おかしくなってしまったんじゃないのか」燕が言うと、た
   「いいえ。そんなことはありません。この林檎は気持ちを開放させる効果があるだけで、精神をおかしくするという作用はございません。今、彼女が話していることは紛れもない真実なのです」モグラは淡々と答えた。
   「モグラさん。今日は来て頂き、ありがとうございました。全てあなたのおかげです。非常に感謝しています」そういうと海月は深々と一礼した。「さぁ。行きましょう。これ以上夜風に吹かれると身体を冷してしまいます」
   「ちょっと待ってくれ。海月さん。本当にそれで良いのか?本当に正直に、素直に話しているだけなのか?」
  燕は状況を飲み込めなかった。
   「もう。あなたは本当にわからずやね。嘘をつく必要がどこにありますか」
   燕はなにも言い返すことができなかった。気持ちが昂って、言葉などなにも出てこなかった。ただ、海月の冷たい目が印象的だった。
   「じゃあもうよいですか?よいならこれで行きますよ。あ。そうだ。燕さん。燕さんにも林檎を一つ差し上げましょう。あとで一人になった時にお食べください。するとあなたにもわかることがきっとありますよ」
   モグラは更に一つの林檎を地中から掴み取り、燕に手渡した。
   「じゃあ、そろそろ参りましょう」
   燕の様子を無視するように、海月の言葉は無邪気で、恬然としていた。
   そしてその一言を最後に、二人は暗い夜の海に消えて行った。
   
   それからというもの、燕は一向に納得がいかず、悶々とした日々を送った。そして、今まで手をつけられなかったモグラの林檎を、ようやく決心がついた燕は、一口、食べてみることにした。これを食べれば、海月の、急な心変わりを少しは理解できるかもしれない。
   自分の心が正直に、素直になるのを待った。

   しかし、なにも変わらなかった。一口、また一口と食べ進めてみても、燕の心にはなんの変化も訪れなかった。
   暫く呆然とした。
   そしてふと、思い至った。


   燕は、涙が溢れ出るのを止められなかった。
   
   
あとがき
天才じゃなかろうかと思った。夢中で書くことに没頭し、書き終えたときには指が微かに震えていた。
それは私がアル中だから。ではない。物語の秀逸さ、文章力の卓逸さ、容姿の端麗さ…。
全てを私は生まれながらにして手中に納めてしまったんやなあ。と思うと。
涙。
近頃ちょっとしたことで涙が止まらない。私は燕。

読んで頂いたミナ様。この物語のギミック。お気づき頂けたでしょうか?(言い訳をすると、自分的にはまだ8割ぐらいの完成度なのです)
まあ本当の本編は8月14日にモーレン様がお披露目していただけますので、ミナ様はそれをとくとご覧頂ければよいかといざ候。
では私は眠いので寝ます。おやすみ。アデュー。

2015年7月30日木曜日

黄色林種

〜しな爺の句〜

甘みとは
酸味にまつわる
エトセトラ




  【お知らせ】
〜mollen〜
モーレン  CD完成記念ライブ
レコ発   PV発表
Hawker Base にて開催 ‼︎

         17:00〜22:00
場所   西淀川区大和田5丁目11-1
           ムカイ林檎店 となり
         『Hawker  Base』
会費  1000円(飲食つき)

問合せ、ご予約は
090-5908-2676   ホシバ まで

2015年7月29日水曜日

りんごの木箱の活用方法

普段、ムカイ林檎店の行商人たちは

こんな感じで木箱を使ってディスプレしています!

私の家でも
こんな感じで使ってます!

横板をハンマーでコンコン叩いて抜いただけです。

りんごの木箱は、色んな顔を持ち
1枚板もあれば、2枚や3枚
ほぼ真っ直ぐの板もあれば、斜めな板もあり、幅も色々です。
自分好みを選べば、ノコギリ要らず!なわけであります!!


『りんごの木箱』本当にたくさんのお問合せありがとうございました。
また、お店まで足を運んでいただき重ねて御礼を申し上げます。
大阪西淀店は、日中は行商に出ていまして今のところお店は開けていなくて、朝だったり夜だったり、たまたま「何日は居ます!」みたいな感じで買いに来て頂いてます。
大阪西淀店までお問合せ下さい。
(ホームページからどうぞ!)
もしくは、
    □□長谷川  美奈□□  まで!

で↓↓↓告知です。
この日は、朝から準備しているので大丈夫です。事前にご連絡下さいね。
イベントの方にも、ご参加頂ければ幸いです。mollenは、ナチュラリストさんにはたまらないと思います。
mollen「検索」で、ホームページや、YouTubeご覧いただけます。


  【お知らせ】
〜mollen〜
モーレン  CD完成記念ライブ
レコ発   PV発表
Hawker Base にて開催 ‼︎

         17:00〜22:00
場所   西淀川区大和田5丁目11-1
           ムカイ林檎店 となり
         『Hawker  Base』
会費  1000円(飲食つき)

問合せ、ご予約は
090-5908-2676   ホシバ まで





2015年7月28日火曜日

寝れば育つ

6月の梅と、氷砂糖と、りんご酢ちょっと
寝かすこと1ヶ月。















はじめての梅シロップが無事完成。
いいにおいがします。

ぬかづけとか、家庭菜園とか、ウォーキングとか、
やってみるものの続きません。
そういう類いのことをさらっと楽しめる女性になりたいものです。

そんな自分に、梅シロップの完成は嬉しい一歩。




ひとまず炭酸で割って、暑さからの逃避行しゅわしゅわ


川原由美子




























  【お知らせ】
〜mollen〜
モーレン  CD完成記念ライブ
レコ発   PV発表
Hawker Base にて開催 ‼︎

日時  2015年8月14日
         17:00〜22:00
場所   西淀川区大和田5丁目11-1
           ムカイ林檎店 となり
         『Hawker  Base』
会費  1000円(飲食つき)

問合せ、ご予約は

090-5908-2676   ホシバ まで

2015年7月27日月曜日

こんにちは



「もうじき八十のムスメやわ、どないしょ。」

吉村



  【お知らせ】
〜mollen〜
モーレン  CD完成記念ライブ
レコ発   PV発表
Hawker Base にて開催 ‼︎

日時  2015年8月14日
         17:00〜22:00
場所   西淀川区大和田5丁目11-1
           ムカイ林檎店 となり
         『Hawker  Base』
会費  1000円(飲食つき)

問合せ、ご予約は
090-5908-2676   ホシバ まで





2015年7月26日日曜日

8月14日

8月14日 金曜日  17.00~22.00

モーレン レコ発・pv発表 ライブ   ホーカーベースにて 問 090-5908-2676 ホシバ

2015年7月25日土曜日

夏大王

んもう、と思った時ほど、
シノゴノ言わずに登ってみます。
富士山登れたじゃないか。
            この右下らへんに大阪店店長↑

長村です。mollen(モーレン)今年いっぱい駆け抜けます。他ジャンルの方々と作品をつくり携わらせていただける機会いっぱいです。楽しみと武者震い!
ひとまず、来月14日はCD発売記念ライブ第二弾として、先週の土曜日に紹介した大阪店隣接の創作スペース「Hawker Base」にてイベントをやります。

とき 2015.8.14(金)
ところ Hawker Base 大阪市西淀川区大和田5-11-1ムカイ林檎店横
じかん 17時〜22時くらいまで
お代 1000円(飲食付き)
演奏 mollen

ライブのスタート時間は頃合いを見て始めます。思いきりお盆の真っ最中ですが、のこぎりの音色聴いてみたい〜お、ちょうど時間が空いてるぞ〜林檎屋が気になる!などなど、タイミングが合えばどうぞ!


2015年7月23日木曜日

リンゴ雨

どーも。リンゴは友達。インターナショナル。
レニデイ。中粒。誰からのギフト。
雨ポ。貴女。いざレッツゴー。

サッカーが好きです。

2015年7月22日水曜日

夏を過ごす

最近、ありがたいことに木箱の問い合わせを多数いただきまして、


のこぎり・ギターのmollenのCDが初版完売しまして、

近々PVもできるとか。


畑に通う人や、

いつも 「暑いなぁ」 しか言わない僕、

もう熱さにやられた人や、

淡々と日々涼しい顔して出発する人や、

ちょっと旅に出た人、


賑やかです。


毛穴という毛穴から汗が噴き出る夏真っ盛り、

太陽ありがとうってことで、


王道、行商で突破します。



いつもありがとうございます。


 林 隆三






2015年7月21日火曜日

色 気

私は7年前に

林檎屋さんをしていました。

林檎屋さんとは

そんな昔のつながりですが、

今でも

お付き合いさせていだいています。

自分でも不思議ですが、

りんごやさんと

逢う事でとても心が高揚します。

なぜかな〜

めんどくさいこと沢山なのにな〜

(林檎売りと別のお手伝いの依頼を

急ぎでいただいたり、、)って

考えたことがあります。

出てきた答えは、

林檎屋さんの皆さんのことが

好きだから。でした。

ほっんとーに!

みんな皆さんカッコよいです。

よく飲み、よく笑い、よく泣きます

(泣き上戸はおひとりだけかな)。

最高です。

熱のあるガンガンした人も、

癒しのあるフワフワした人も、

多くを語らないスクッとした人も、

それぞれの個性がある中で皆さんに

共通して感じるのは『色気』です。

性的なものではなく、

身にまとったオーラとして出る

風情です。

もちろんそれぞれの方が元々持つ

魅力もあると思いますが、

毎日のりんご売りという仕事が

個人に重なって、

より魅力になっているんだろうなって

勝手に考えています。

いつの間にか魅力が増しちゃう、

そんなくらい

毎日毎秒感じること・得ることが

多いお仕事です。






今年の春先に実家に帰って

時間ができた時、

林檎屋さんのことが好きすぎて、

柄にもなく詩を書きました。

黒田維理の『サムシング・クール』に

感化されて

愛をカタチにしたくなりまして。

そういった気持ち悪い感情を

抑えながら地に足つけて、

今後もりんごやさんに

突っ込んでいきます。

少しだけ。







申し遅れましたが、

堂寛子と申します。

今はグラフィックデザインを

仕事としております。

辞めた人間だから、

デザイナーだから、

りんごやさんの魅力とかとか

“伝える”に注力できたらなと、

頭のはじっこのほうで考えています。

まだ、誰に向けて書いたらいいのか、

描いたらいいのか、手探りですが、

毎週火曜日、由美子さんと隔週で

ブログを書かせていただきます。

これからは気になった

デザインとかとかも

綴らせていただきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。


堂寛子









追記:
林檎屋さんから離れられない理由が

もうひとつ。

『無理だろうな』を実現させる

力を持っていること。です。

今までもいくつかの“結果”を

目にしてきました。











2015年7月19日日曜日

賢治



現象と現象とが溶け合う世界をスケッチする     ホシバ

2015年7月18日土曜日

Hawker Base Release

大阪店には店舗の横っちょに、林檎屋のブログタイトルと同じHawker Baseという名前の倉があります。
そこは作りたい人が作ったり練習したりステージになったりする場所。

去年の春〜夏にかけて、あと年末にこの場所でイベントを行いました。そしてついには二階部分に全て手作りの音楽スタジオを建設し、林檎売り〜創作の日々が実現!なかなかハードだけどこれが面白く、もう…もう寝ないといけませんねん…という状態の時ほどゴロッ!と良いフレーズが浮かぶ不思議。

そして今月の14日、僕がギターを弾くユニット、mollen(モーレン)のCDがこの度完成致しました!

レコーディングはレコスタを借りてエンジニアの方に録音をお願いするのがスタンダードです。が…1から10、どこまでメイドイン我々で出来るのかというのが一つの課題兼楽しみでもあったので、みんなで作ったスタジオで、メカと向き合いながらコツコツとやりまして…出来ました!

mollenは西洋のこぎりとギターのユニットです。なのでジャケットはご覧の通りの装丁(笑


やっとできた自分たちの名刺。これを片手に方々へ巡業へ行こうと思います。その内また音も届けますので、良かったら聴いて下さい。

長村

2015年7月17日金曜日

求人


「ああ暑。あっつっつ。暑ー。なに考えとるんじゃ。なにが楽しいからこない暑くなるんじゃ。ええ加減にさらせよ。
それにこの湿度。誰が喜ぶんじゃ。誰がための湿度じゃ。もっとカラッとせえカラッと。唐草次郎とはわいのことじゃ。どアホ。」
「ちょっとあんた。さっきからなにを訳のわからんことをぶつぶつ言うてはりますのん」
「なにをって決まっとるやろ。夏や。夏のあほんだらによう言うて聞かさんとこいつらどんどん増長していく一方でしまいには世界を滅亡の危機に陥れかねへんよってに。わいがそれを未然に防ごうとこうしてぶつぶついうたっとるんや」
「そないな大仰なこというてはりますけど、あんたになんか関係あります?」
「関係あります?て。おもろいこと吐かす女になりおったの、おどれは。こうして大地に生命を授かって人生を全うしている以上、わいにもいう権利っちゅうもんがあるんとちゃうんけ」
「いえいえ、そういうこというてるんちゃいます。あんたはもうずっとこの冷房の効いた部屋で涼みながら冷麦と塩オニギリを食べてはごろごろするという毎日を送ってはりますやないの」
「あ。まぁそういわれたらそれもそうやの。しかしお前。よう考えてみたらここ数日、素麺と塩オニギリしか出てこなんだけど、一体どないしたんだ。ええ加減わいも飽いてきよったわ」
「それはあんたが働かんからもう家には他の食料を買って置いとくほど金銭の余裕はございませんの」
「え。そうなの?それはちと困ったなあ。そんならそうと早く言うてくれたらよかったのに」
「言うてますわ。でんもあんたはいつだって聞く耳を持たずに「おれはこれからの男や」などと戯言を言うておしまいですやんか」
「うぬぬ。戯言とか言われたらなんか腹立つ。しかしお前も知っとるやろ。今、世の中は腐っとる。まともな働き口なぞ存在せんにや。わいはその気になったらどこでもいけるど。けどそれをしてしまうとわいの人格やらなんやらがいっぺんに否定されてもうてこれから待ち受けている明るい未来、すなわち芸術や表現という常人離れした世界での立身出世が非常に見えづらくなる、という危険性をわしは鑑みて」
「もうよろしい。そないなこというてたらあんたは一生素麺と塩オニギリの人生ですわ。なにが芸術。なにが表現。実際に部屋にいながらそないな創作活動をしているところは私はただの一度も拝見したことはありません」
「せやからそれはこれからやな」
「これからこれからいうてあんたはそれしか言えまへんのか。もうよろしい。ちゃっちゃとどこでもいいから働いておくんなまし。お願いしますよってに」
「そないなこと言われたかて…」
  沈黙が、静寂が、二人を包んだ。男は、あかん、ちょっと意固地なりすぎたかな、と思った。出ていかれたらどないしよ、とも思った。
  すると女が言った。
「あんた、林檎屋にでも行ってみたらどないです?」
「なに、林檎屋?なんやそれ」
「林檎を売り歩く仕事どす」
「ほっほーー。そないな仕事があんのけ。そんならなんか聞きなれへんしなんちゅうたらちょっと破天荒感も感じられるし良さそうやないけ。林檎屋か。よしゃ。じゃあ決めた。わいは林檎屋や。今からわいは林檎屋や。林檎売りまくってお前のこと楽にしたる。欲しいもんなんでも買うたる。なんやなにが欲しい。服か宝石か電子レンジか。なんや」
「もう。あんたはほんまに早計やからあかん。まずは面接いうもんがございまっしゃろ」
「面接?ほ。それもそやな。よしゃ。ほたら明日面接に行く。でも明後日から働くのは急やし、仕事が決まった安心感と優越感に浸りながら一日酒でも飲んでゆっくり過ごしたいから、しあさってから働きだす。ほいたら完璧やろ。わいらの人生は明るいやろ」
「ちゃんと朝起きてくらはいね」
「じゃかあしい。こないだかてお前が起こさんから寝坊してクビなってもうたんやないけ」
「いえいえ。起こしましたわ。体を揺すぶって」
「あほ。どこの誰が体揺すぶられるだけで目覚める?揺り籠ちゅうもんがあるやろ。あれはゆらゆら揺れる心地よさでより深い眠りに付けるちゅう原理や。だからお前がした行為は逆の行為っちゅうこっちゃやで」
「なにいうてはりますの。こないだあんたが「朝がきたら私の体に熱湯を浴びせかけてくれろ」というのでそのとおりにしたやない。そしたらあんたは怒って私を二発殴ったわ。だから前回は、体を揺すぶる、という行為だけに留めたのよ」
「うるさい。昔のことをいつまでもうだうだ吐かすな。わいは今上機嫌なんや。活力がみなぎってきとるんや。やる気に満ち満ちとるんや。お前。見とけよ。わいはやるで。しあさってから頑張るで。そうと決まったら早速宴ぞ。さぁ。酒を出しとくれ」
「もう、まだ決まったわけやないのに。ほんまこの人は。阿呆やわぁ」
  女は溜息をつきながら腰を上げ、着物の帯を直しながら台所へ酒を取りに行った。
  言葉とは裏腹にその足取りはどこか軽快で、少しばかり唇の端があがっていた。


こんなやつが来たらおもろいなー。


   ムカイ林檎店・永遠の新人
                                    沢口   裕

リンゴ道

どーも。
リンゴ は友達。
まいどおおきに、流浪人です。
徐々に素性を明らかにしていこうと思います。
宜しくなのだ。

秘蔵っ子  森脇 P

2015年7月15日水曜日

りんごの木箱の活用方法

ムカイりんご店の《りんご》や《りんごジュース》は、昔懐かしりんごの木箱で青森の大鰐町の農家さんから直接届きます。
※りんごは秋の収穫まで夏休み。9月上旬頃からです。
こんな感じです。

結構丈夫で雰囲気も良いので 私は家でも色々使っています。
そのままでもいいんですが、ちょっと加工したりも…。
こんな感じです。

これは、お店で使ってる私の収納デスクです。
バーナー(ホームセンターで売ってます)で焼いて、濡れ雑巾で拭いて、つや消しラッカーを吹き付けました。

りんごの木箱が欲しい方、店舗までお問合せ下さい。

□□ 長谷川 美奈 □□

2015年7月14日火曜日

夏の過ごし方

今年も日本に夏がきました。
私は2年ぐらい前までりんご屋さんをしていましたが、
行商という商売は本当に四季とともにありました。

暑さと寒さ、そんな自然のなかで育つ林檎とともに
どこで売るとか、どうやって売るとか、

今はフリーランスとしてデザインの仕事をさせてもらっていますが、
そういうりんご屋さんでの日々のすべてが今につながっています。

季節はとても楽しいものです。
毎年の夏の楽しみは盆踊りです。
今年もやぐらを囲んで踊りながら夏を過ごしたいと思います。


毎週火曜のブログは、りんご屋OBの日。
DOちゃんとの隔週で、日記を書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。


川原由美子




2015年7月13日月曜日

こんにちは



「行商の人やてー」

吉村

ムカイ林檎×ホーカーベース 下半期予定

1 CD・PⅤ発表

2 無料シネマ

3 千通のラブレター

4 一週間公演

5 奄美ツアー

6 ジャパネスク

           詳細は順を持ってアップします   ホシバ

2015年7月11日土曜日

ファーストコンタクト

「はじめちゃんが表現で本気でごはんを食べていく気があるなら、林檎売り、一緒にやりましょう」

きっかけはこの言葉でした。

6年前、東京から大阪に戻ってきて受けた林檎屋さんの面接。今まで僕が受けてきた面接というのは「この仕事は…、週何日入れるの?」と、普通はそうです。
この時も「音楽やってるのですが、できるだけたくさんシフト入ろうと思います」というバンドマン御用達のフレーズを用意して望みました。

できるだけ愛想よく、そしてやる気を見せないと。ただでさえバンドやる事は「働く」事に関してはマイナスポイントと思っていた僕は、面接の集合場所の塚本駅前で、あらゆるシュミレーションをしながら待っていました。

ふと来た車から「あ、はじめちゃんやね」と軽やかな声。
そして当時の西淀店店長の玲さんは僕の履歴書の、"音楽専門学校卒業"の文字を見てから、ほぼノンストップでお互いの好きな音楽の話から盛り上がり…自身もジャズをやっている事。子供が産まれて、より自由になった事。林檎売りのやり方はあるがセオリーはない事。時間は伸び縮みする事…など、音楽から宇宙論の入り口まで話があっちこっち行ったり来たりで、僕の用意していたバンドマン御用達フレーズはいつの間にかどこかへ行き、とても楽しい時間を過ごしました。
楽しんでしまっている…だけど楽しい…面接ではないぞ…何なんだこれは…と。

ひとしきり盛り上がって、時計を見た玲さんは、
「じゃあ面接は半分オッケーやね。あと半分は、はじめちゃん、林檎売りは表現と同じだから、表現で本気でごはんを食べていく気があるなら、林檎売り、一緒にやりましょう」

ずどーん、と扉が開いた様に思えました。あの時の言葉は今もずっとあって、"同じ"を探したり"違い"を発見したりしてる毎日です。

林檎売りのさなか、今僕は新しいバンドを林檎の縁で作る事ができました。この度自主製作盤ですがCDも発売します。レコーディングも大阪店のみんなで作ったスタジオで行いました。

働く事にマイナスだと思っていた好きな事に正直に、自分の手から音も必要な時間も作り始めて、一つ一つ繋がっていく答えと楽しみがずっと続いています。

この場所でもまた何がしか発表できたらいいなと思っております。

長文、読んでいただいて本当にありがとうございました。

14日はCD発売記念ライブです!行ってきまーす。

長村創

2015年7月10日金曜日

失態

  頭痛がする。吐き気を催す。涙が止まらない。
  長蛇の車列にはまりこんでしまった私は車中で悶絶していた。
  車の流れが膠着してからかれこれ12分。非常に不味くなってきた。私にはあと5分という僅かな時間の猶予しか残されていないのである。
   普段であるなら、5分などという時間は私にとって湯水の如くであり、もちろんそんな僅かな時間のことでやきもきするほど切羽詰った人間ではない。
  しかし今は決して違う。5分後、すなわち午前八時十五分という時刻は私が日々勤労する林檎屋の最終集合時刻なのだ。
  日頃から、お前は遅刻の常習犯である、と店長の林隆三氏に懇々と叱責されている私にはもう後がなく、かといって、すんまへん渋滞が酷おてどうもにっちもさっちもいきまへんねや、などと連絡してみたところで信頼されるかどうかも怪しいところだ。
  どうしてよいのかわからなくなってきた私はいっそ車から半身を乗り出し、いわゆるところの「箱乗り」という運転技術を駆使した上で奇声を発しながら前後の車両にどっこんどっこん追突させてやろうか、などという危険極まりない思念に囚われたりもしたが、今は一人である。一人は孤独である。そんなことをする勇気など微塵も生じず、人目も気になるしそんな蛮行は恥ずかしいことこの上ない。ううん。どうにかならんかな〜。
  って、あぁ、こんなことをだらだら書いているうちにあと3分。いよいよ事態は切迫した状況になりつつある。
  それにしても先程から進まない。信号はもちろん正常に動作している。一体全体前の奴はなにさらしとるんやろ、と150mほど先に停留するダイハツ社製のタントという青い車に注視すると、きゃつは、周りの迷惑、混乱、悲しみ、苦しみ、など一切を放擲し、車中でなんと携帯ゲームを黙々とPLAYしているのである。
  それになんとなく気づき出した後列の車両達はついに業を煮やし、一斉にクラクションや怒声を浴びせかけ、ある者は物を投げ、またある者は狂い死にし、ある者は車中で抱きしめあったりしていた。
  私は遅刻を覚悟した。もう無理だ。仮に今からこの渋滞が流れだしても到底間に合う距離ではない。
  私は観念し、仏様のように澄み切った眼差しで窓の外を眺めると、澄み切った青空が広がり、入道雲がふわふわしている。そこにはなにかよく名称のわからない汚い鳥が羽ばたいていた。
  ブログを書き進めていこうという初日に遅刻をしてはならぬ。いかな事情であってもである。火をくぐり矢をかわしながらでも男は前進しなければならない。
  しかし、もうしない、などとは言わない。なぜなら自信がないから。今言えることは、少なくとも、毎週金曜だけでもしないように誓おう、ということだけであるのであるのである。
   とりあえず電話して謝ろー。

ムカイ林檎店・はしくれ
                                     沢口裕

心機一転

こんばんは、西淀川店 阿部です。

西淀に来て1年半、その前は京都店で働いてました。

新しい街、新しい仲間、新しいお客様の元、日々楽しく過ごしています。

環境が変わるとすべてが新しく、まだまだ可能性を感じ始めた今日この頃です。

とはいっても忙しい毎日、、、ぼちぼちがんばるので、これからもよろしくお願いします!

2015年7月8日水曜日

作ってみました 〜料理編〜

お客様に、畑で実ったキューリを頂いたので作ってみました!




タッパーに、ひとくちサイズに切ったキューリを入れて
フタをせずにレンジでチン!軽く水分を飛ばします。
900wで1分位 適当で大丈夫!!
お塩を少々パラパラ ブラックペッパーもパラパラ
フタをして振って混ぜ混ぜ
そこに、すかさず『りんごっす しあわせっ酢』投入

ハチミツ入りを 大さじ1杯
入って無いのを 大さじ1杯
アマニ油を 小さじ1杯

またまた、フタをして振って混ぜ混ぜ 冷蔵庫!
半日くらいで美味しく食べれます!
個人的に酸っぱいのが好きな私の配合なので↓↓↓

ハチミツ入りを 大さじ2杯
オリーブ油を 小さじ1杯

とかは、どうでしょうか?
また美味しいレシピ教えて欲しいです!

うちの『りんごっす しあわせっ酢』は、本当に美味しい!コクがあり、カドもなく、心からそう思う私であります。

あらためて、いつも本当にありがとうございます。

🍎長谷川 美奈🍎

2015年7月7日火曜日

ブログ開始します。

ムカイ林檎店 西淀店です。

西淀川の大和田のお店に移って1年半、「根を張る」をテーマに過ごしてきましたが、それぞれの枝になりつつ咲きつつある花もあります。
全てを支えるべく、ぶっとい幹になる決意とともにありがたさを感じます。

これから行商人たちが日々更新してまいりますのでお楽しみください。

ムカイ林檎店を応援してくださる皆様方、いつもありがとうございます。


   林  隆三