2015年7月11日土曜日

ファーストコンタクト

「はじめちゃんが表現で本気でごはんを食べていく気があるなら、林檎売り、一緒にやりましょう」

きっかけはこの言葉でした。

6年前、東京から大阪に戻ってきて受けた林檎屋さんの面接。今まで僕が受けてきた面接というのは「この仕事は…、週何日入れるの?」と、普通はそうです。
この時も「音楽やってるのですが、できるだけたくさんシフト入ろうと思います」というバンドマン御用達のフレーズを用意して望みました。

できるだけ愛想よく、そしてやる気を見せないと。ただでさえバンドやる事は「働く」事に関してはマイナスポイントと思っていた僕は、面接の集合場所の塚本駅前で、あらゆるシュミレーションをしながら待っていました。

ふと来た車から「あ、はじめちゃんやね」と軽やかな声。
そして当時の西淀店店長の玲さんは僕の履歴書の、"音楽専門学校卒業"の文字を見てから、ほぼノンストップでお互いの好きな音楽の話から盛り上がり…自身もジャズをやっている事。子供が産まれて、より自由になった事。林檎売りのやり方はあるがセオリーはない事。時間は伸び縮みする事…など、音楽から宇宙論の入り口まで話があっちこっち行ったり来たりで、僕の用意していたバンドマン御用達フレーズはいつの間にかどこかへ行き、とても楽しい時間を過ごしました。
楽しんでしまっている…だけど楽しい…面接ではないぞ…何なんだこれは…と。

ひとしきり盛り上がって、時計を見た玲さんは、
「じゃあ面接は半分オッケーやね。あと半分は、はじめちゃん、林檎売りは表現と同じだから、表現で本気でごはんを食べていく気があるなら、林檎売り、一緒にやりましょう」

ずどーん、と扉が開いた様に思えました。あの時の言葉は今もずっとあって、"同じ"を探したり"違い"を発見したりしてる毎日です。

林檎売りのさなか、今僕は新しいバンドを林檎の縁で作る事ができました。この度自主製作盤ですがCDも発売します。レコーディングも大阪店のみんなで作ったスタジオで行いました。

働く事にマイナスだと思っていた好きな事に正直に、自分の手から音も必要な時間も作り始めて、一つ一つ繋がっていく答えと楽しみがずっと続いています。

この場所でもまた何がしか発表できたらいいなと思っております。

長文、読んでいただいて本当にありがとうございました。

14日はCD発売記念ライブです!行ってきまーす。

長村創

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