(前回のつづき)
仲間と取りかかっている本の製作。
そのなかでも、取材内容を原稿におこす執筆の作業。
とにかく私はそれに時間がかかります。
「新しい発見がある」とか「想いを深める」とか
そういうポジティブな思考へ着地するまでに、
現実には険しい道のりが目の前に立ちはだかります。
これまでは、「いいね!」という単純なことばひとつで
仲間うちではわかり合えてきたこと。
それを、読み手を意識してわかりやすいことばで伝えること。
そして、ちゃんと「売れる」本を作らなくてはいけないこと。
いろんな想いが脳を交錯するなか、
何がいいのか、何でいいと思うのか、とことん掘り下げる作業は、
思考の筋道を探ってるうちに文章のスピードはみるみる減速し、
だんだん何が「好き」なのか分からなくなってきます。
想いはあるのに文章は一向に進まず、時間だけが淡々と過ぎていく、
この時がとてもとても辛い。
直感で好きだと言っていられる時が、いちばん強く好きだと感じられるものです。
繊細で表現豊かな日本語の、無限のことばの糸をつないで、
自分のフィルターを通して表現を導き出すことの難しさを実感します。
読み手側にとって、想像してもらえる余白も残したい。
だから、書き手の想いが強いほど、客観的になることの大切さにも気付かされます。
そんなほどよい緊張感と、まだ見ぬ景色を楽しみにしながらの製作、
内容についてまだ詳しく伝えられないのがもどかしいのですが、
タイミングがきたら、このブログでもご報告させてください。
こんな機会を与えてもらえたことに感謝し、
必ずや納得のいく本を完成させるぞと静かにパチパチ燃えています。
リミットに追い込まれる夜は深いなぁ。
物書きとは、孤独な戦いである。
川原 由美子