とくとくとくっ
おっとっとっと
年を重ねて
おばあちゃんになってからの夢を
お酒をのみかわしながら
友人と話します
その夢は
『薬味処』という名の
おばんざいやさんをすることです
薬味がメインの
お料理を出すお店です
卵焼きの上にネギじゃなくて
ネギの上に少しの卵がのってます
ササミの上にしその葉じゃなくて
しその葉の上に
少しのさいたささみをそえます
梅肉も少々
私は今料理できません
まったくぜんぜん
おばあちゃんになったら
それなりに
と期待してます
そのお店にはレコードを置きます
ロックとクラシックがかかってます
歌謡曲もかけてみます
YouTubeで落語の日もあります
壁にはたった1枚
クレーターまで目に映る
大きな大きな月の絵をかけます
店の隅にオルガンを置きます
グラスは一つひとつ
椅子も一脚一脚
全部違うデザインです
林檎の木箱だったりします
高さもバラバラです
変な距離感で話すお客をみて
クックックと笑います
クレームがくるでしょう
若者の
イベントやライブのフライヤーを
沢山置かせてあげます
いいばあちゃんだと思わせます
店主のふたりは
白髪の刈り上げで着物の
おばあちゃんと
金髪短髪でTシャツジーンズの
おばあちゃんが
カウンターに立っています
だいたいふたりとも酔ってます
会話は下手っぴです
お客さんの大半は革ジャン着てます
絵の具や薬品で汚れた
使い込まれた手でグラスを片手に
な方もいることでしょう
図書館で借りた小説を左手に
な方もいます
青空にとけこむような真っ青な
麻の生地のワンピースを
着こなしている
大層お美しいご婦人も
月の絵を観に時折来店します
料理上手で泣き上戸の
林檎屋さんも
老け込んでも毒の抜けない
林檎屋さんも
ワンシーズンに一回
顔をだしてくれます
畑をもってる林檎屋さんは
自家製落花生を持ってきてくれます
少しの日本酒をごちそうします
チンピラ風ふかせた林檎屋さんは
林檎酢をお店で使えと売りにきます
美味しいし体にいいもんだから
買っちゃいます
これは夢です
老後もこわくない!
この世はヘブン!
堂
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