2015年8月28日金曜日

超高高級球児

私はライトが好きだ。とてつもなく好きだ。
ライトにしか興味がないといっても過言ではない。人一倍、否、人五倍は好きであろう。ライトでご飯3杯は優に食せると豪語できる。
レフトよりライトなのだ。センターよりかはレフトであるが、そこはやはりレフトよりもライトなのである。
ショートは駄目だ。理由などない。生理的に受け付けないのである。
エゴイストの権化といわれているピッチャーなんてものは言語道断であり、私は、ピッチャー、という単語を耳にする度、自身の鼓膜を破壊せしめたくなる衝動に駆られるのである。
ライトの次に好きなのは、まぁ、キャッチャーかな。
これは中々苦労人である。
朝も夜も雨の日も、常、中腰で構え続ける彼、彼女らのそのスタンスの辛さといえば筆舌に尽くし難いことこの上ないであろう。
そんな彼、彼女らの気持ちを少しも慮ることもなく、次から次へと何かを投げ込んでくるピッチャーの行為はやはり何度考えても鬼畜の所業であり、その蛮行は一言でドSとしか申し上げようがないのである。
サードは別になんでもよい。別にサードじゃなくてもいいよ、とさえ思っているふしがある。
帰りしなに、忘れていたサードの存在をふと思い出し、あああああ。いけない。サードを忘れていた。おかんにどやされる。まぁでも今から一々戻んのもなんかじゃあ臭いなあ。まあええわ、一か八か忘れたまま帰ったれ、と、やけになって帰り、恐る恐るおかんに、サードを忘れました、と報告したところで、おかんも別にサードに対して固執しているわけではないから、サードはまた別の機会でええんちゃうけ。などと言われて丈一の心配は杞憂に終わるのである。丈一て誰やねん。
ああ。やっぱり色々鑑みるにライトが一番ええなあ。魅力的やわあ。など言いながら車中でアイスクリームを頬張っていると、眼前から素敵なおば様。それこそライト気質の顔ではないが、どことなくキャッチャー顔をしている素敵なおば様。私にとってはとても好感の持てる様子だったので、すかさず声を掛けた。
「HEY!林檎売ってます!林檎!林檎林檎林檎!ワオオオ!」と、絶叫して元気の良さを惜しげもなくアピールすると、おば様はさっきまでのキャッチャー顔を一変、僕の苦手とするピッチャー顔へと途端に変貌せしめ、それがしの陽気な挨拶は虚しく空へと散らばっていったんだ。どうしよう。困ったぜ。どうやら私は言葉のキャッチボールができないのである。

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