2016年1月17日日曜日

林檎転生日記 4





その昔、小説家として名を馳せた文豪の一人に、太宰治というおっさんがいた。

なんでも彼は世間でも有名なナルシストだったらしい。

例えば散歩中、橋の欄干にもたれ掛かって、タバコを吸い、周りの景色を眺めるときの立ち方一つにしても、彼はわざわざ他人から見られることを意識して、その容子をキメていたという。


私はその記事を読んだとき、なんたる自意識であろうか、と思った。


めっさナルシストやん、と思った。


しかし、同時に、おれもナルシストになれば太宰治のような独白的な文章が書けるのかもしれない、とも思った。


そう思ってしまったのだから仕方がなく、私は他の追随を許さぬほどのナルシストになるため、然る文献を読み漁り、なる方法、必要な手続き、などを調べ尽くしたのである。


続く




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