2016年1月12日火曜日

ジャム作り

キッチンの端っこまで満たす
酔っぱらいそうなほどの林檎の甘酸っぱいにおい。

ふつふつふつ

ジャム作りは、ほっておくと煮詰まって焦げてしまい、
おでんのように勝手にぐつぐつと育ってくれるわけにはいかず、
約1時間、いつも鍋につきっきりで煮込んでいきます。

ふつふつふつ

踊る鍋の中を見つめ続けていると、
ふっと頭にぽっくりと余白ができて、
そこに日々の奥底に沈んだ悩みや迷いが、
ここぞとばかり、思い出したように顔を出す。
あれやこれやを考える。
でも結局のところ私の悩みは知れているようで、
決定的な答えも出たような出なかったような感じで、
考えるのにも飽きたら、
そこからは自分がからっぽになる時間がやってくる。

ふつふつふつ

ひたすらに鍋のなかをかき混ぜる。
明日の朝のジャムトーストの絵を浮かべながら。
それはそれは、無重力の中にいるような気持ちのいいひととき。

ふつふつふつ

かき混ぜるヘラのもったり感に手応えを感じたら、
火を止めてジャムの完成。熱湯殺菌した瓶につめていく。

ふ〜、今日もたくさんできたから、明日会うあの子へも渡そうかな。
と思うのですが、そんな風にいろんな気持ちを交えながら
時間をかけて作ったジャムを誰かにあげるということは、
自分の内側を人様に晒け出すようで、
勝手にいつも心は少し気恥ずかしくもあったり。

だから私は、おばあちゃんになるまでには、
すごく美味しいジャムを作れる人間になりたいと思っています。

ふっふっふっ



川原 由美子




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